次世代の企業内コミュニケーションはショート動画が主役に ー「伝わらない・定着しない」を1分で解決

Next1 Create Inc. デジタル事業部
2025.07.25

進化するビジネス環境と、情報の「伝達」から「定着」への課題

現代のビジネスシーンは、革新的な技術の台頭と市場構造の劇的な変化によって、その姿を常に変え続けています。このような状況下で企業が競争優位性を維持し、持続的な成長を実現するためには、従業員の継続的なスキルアップと、組織内の知識を効率的に共有する「ナレッジトランスファー」が不可欠です。

ビジネスにおいて、情報は「伝える」だけでなく「実際に伝わり、記憶に残る」ことが重要です。しかし、従来の長時間研修や大量のテキスト資料では、従業員のエンゲージメント維持や知識の定着は困難になっています。

その強力な解決策が、今回ご紹介する「ショート動画」の活用です。海外では短く集中的なレッスンを提供する「マイクロラーニング」として導入が進んでいますが、なぜ今、先進企業は研修や情報共有にショート動画を取り入れているのか?

その効果と、すぐに実践できる活用シーンを具体的に解説します。

なぜ今、ビジネスにショート動画なのか?驚きのエンゲージメントと定着率

日常業務に溶け込んだ研修

ショート動画による学習は、企業研修において多岐にわたる利点をもたらし、その有効性は多くのデータによって裏付けられています。

特筆すべきは、エンゲージメントと知識定着率の飛躍的な向上です。研究によると、学習者が読んだ内容の20%しか保持しないのに対し、見た内容の80%を保持するとされています²。また、ショート動画による学習を導入した組織では、エンゲージメントが50%増加し、知識定着率が80%向上したという報告もあります²。

さらに、定期的な復習と組み合わせることで、長期的な知識定着率が驚くべき200%向上するというデータも存在します²。ある調査では、参加者の75%が従来の学習方法よりも良い知識定着を報告しています³。

この高い効果は、ショート動画が「業務の流れの中で」必要な情報を迅速に提供する「ジャストインタイム」学習を実現し、日常業務の生産性を阻害しない¹²ことにあります。

これにより、従業員が主要な業務から離れる時間を短縮し、組織全体の効率化に貢献します²。その結果、パフォーマンス改善が300%加速する¹一方で、従業員の研修時間を40〜60%削減できると報告されています⁶。

Z世代のニーズ

また、1990年代半ばから2010年代初頭に生まれたZ世代は、情報過多のデジタル環境で育ちました。彼らにとってモバイルデバイスは生活の基盤であり¹³、動画コンテンツは教育と娯楽の双方において「圧倒的な優位性を持つリソース」として日常に深く浸透しています¹⁴。彼らは長尺コンテンツよりもショート動画を顕著に好み¹³、研修においても「素早く、鋭く、要点を突いた」情報を求めています¹³。

ショート動画戦略の採用は、Z世代の学習嗜好に対応するだけでなく、認知負荷の軽減や視覚学習の優位性といった普遍的な認知原理に基づくものであるため²、すべての従業員の学習効果を最適化することにつながります。このアプローチは、世代間の隔たりを超え、組織全体の学習環境を強化し、結束力と生産性を高めるための重要なステップと言えるでしょう。

 

研修だけじゃない。企業のあらゆる場面で使えるショート動画活用術

海外では、先進企業がショート動画を導入することで研修プログラムとナレッジトランスファーに変革をもたらし、成果を上げています。

「自社ならこう使えるな」とイメージできるよう、具体的なユースケースと事例をご紹介します。

人材育成・研修:新入社員からベテランまで、効果的な知識伝達

ショート動画は、企業の多様な研修ニーズに幅広く活用されています。

  • 新人オンボーディング:新入社員向けに、職務内容や企業ポリシーに関する短く消化しやすいレッスンを提供します¹。
    • サービス業界のAntiselは動画によるオンボーディングでNPS(顧客推奨度)100を達成し、記憶に残るリモート体験の有効性を示しました¹⁶。
    • テクノロジー企業のCriteoもAI動画を活用し、6ヶ月以内に50以上の動画からなる包括的なオンボーディングモジュールを開発しています¹⁶。
  • 製品・サービス研修:新製品の機能説明、ステップバイステップのチュートリアル、よくある質問への対応、実世界での応用例の紹介などに活用されます¹¹。
    • テクノロジー企業のHPは、自社のインクサービス「Instant Ink」の複雑な仕組みを、アニメーション動画で効果的に説明しています⁶。
  • コンプライアンス研修:従来の退屈になりがちな健康・安全、データ保護、職場倫理といったテーマを、魅力的でインタラクティブな学習体験に変革します¹。
    • セキュリティ企業のCarlisle SecurityはAI動画を活用し、10,000人以上の従業員に7言語でセキュリティポリシーを効果的に研修した実績があります¹⁶。Teleperformanceもコンプライアンス研修にSynthesiaを利用しています¹⁶。
  • 運用・手順研修
    • ファストフードのMcDonald’sでは「チーズバーガー研修」動画を活用し、新入社員が特定の業務プロセスをシンプルかつ明確に学べるようにしています⁶。
    • あるグローバルな酒類会社は、AI動画を使い10以上の生産拠点にわたる数百人の製造スタッフに品質保証研修を実施しています¹⁶。

社内コミュニケーション:一貫性のあるメッセージを全社へ

ショート動画は、部署や地域を問わず、すべての従業員に均一なメッセージを伝えることができ、特にグローバル企業やコンプライアンス遵守が求められる業界でその価値を発揮します⁶。

  • トップメッセージ:経営層からのメッセージを、直接的かつ視覚的に伝えることで、従業員の理解と共感を深めます。
  • 部門の取り組み紹介:各部門の役割や最新の取り組みを動画で紹介し、部門間の連携や理解を促進します。
  • 社内イベントの告知:イベントの告知やハイライトを動画で共有し、参加意欲を高めます。
    • 製造業のHeinekenは世界中で約70,000人の従業員に研修を行っており¹⁶、Electroluxは40の合理化された動画モジュールを使用して30以上の言語でヨーロッパ全域の研修を改善しました¹⁶。

ナレッジ共有・業務効率化:ベテランの知恵を資産に

ショート動画は、ナレッジトランスファー、特にベテラン社員の持つ暗黙知の共有にも適しています。

  • ベテランのノウハウ共有:経験豊富な社員の持つ専門知識や実践的なノウハウを動画で記録し、次世代に効率的に継承します。
    • テック企業のシーメンスは、経験豊富な技術者から新入社員への知識をキャプチャし転送するためにAIツールを活用しています¹⁷。
  • よくある質問への回答(動画FAQ):頻繁に寄せられる質問に対する回答を動画で提供することで、問い合わせ対応の効率化と、従業員の自己解決能力を向上させます。
  • ツールの使い方マニュアル:新しいツールやシステムの操作方法を、画面共有と口頭説明を組み合わせた動画で分かりやすく解説します。
    • 非同期動画ツールであるLoomは、長文の文書作成に代わり、画面共有と口頭説明を組み合わせた「オーバーザショルダーチュートリアル」動画で、暗黙知を効率的に転送し、内部文書化を強化します¹⁹。
    • 教育機関のPearsonでは、顧客向けチュートリアルにLoomを活用し、長文メールや1対1研修の代わりに膨大な時間を節約しています²¹。

AIで誰でも動画クリエイターに

「動画制作はコストも時間もかかる」という懸念は、もはや過去のものです。AI技術と専門プラットフォームの進化によって、動画コンテンツの制作と管理の効率化は大きく加速しています。

海外では、AI動画プラットフォームであるSynthesiaのようなツールが台頭しています。AIが生成するアバターとボイスオーバーにより、プロフェッショナルな研修動画を迅速かつ大規模に作成することを可能にします¹⁶。これは劇的な変化をもたらしています。

例えば、製造業のBSH Home Appliances Groupは研修効率を70%向上¹⁶させ、DuPontは研修動画1本あたり最大10,000ドルを節約¹⁶しました。さらに、Five Belowは制作コストをなんと97%も削減しながら研修をスケールさせた実績があります¹⁶。TTECも動画制作時間を70%削減しました¹⁶。

また、合成動画は、従来の映像を再撮影することなく、容易に更新が可能です⁹。これにより、JELD-WENは研修動画の更新時間を1日からわずか30分に短縮しました¹⁶。Fieryも動画更新時間を87%削減しました¹⁶。

これらの技術は、単に動画制作を自動化するだけでなく、コンテンツ制作を「民主化」しています。社内の人材育成チームや現場の専門家が、高品質な動画コンテンツを迅速かつ手頃な価格で制作できるようになり、将来的には「すべての従業員が動画クリエイターになる」可能性さえ示唆されています¹⁶。

ショート動画で、組織の情報伝達をアップデートしよう

ショート動画は、現代の企業における情報伝達の中心的な役割を担うようになってきています。従業員のエンゲージメントと知識定着率を高め、効率的かつ効果的な学習を可能にするため、もはや補完的なツールではなく、基盤となる要素としての地位を確立しました。

人工知能の進化やコンテンツ制作の民主化も後押しし、ショート動画を活用した学習は、これからの企業における情報伝達の新しいスタンダードとなるでしょう。


引用元

¹ Arist. Microlearning In 2025: Research, Benefits, Best Practices

² Tyfoom. Video-Based Microlearning Beats the Forgetting Curve

³ ResearchGate. (PDF) The Impact of Microlearning on Employee Training and Development in Corporate Settings

⁴ theEMPLOYEEapp. 7 Microlearning Examples: Bite-Sized Training for Big Impact

⁵ NMSU Global Campus – New Mexico State University. How Microlearning is Transforming Corporate Training and Employee Development

⁶ Creative Frontiers. Corporate Training Videos – Types, Benefits, and 25 Examples …

⁷ Content Beta. 15 Effective Examples of Training Videos for Employees

⁸ Moodle. 10 microlearning examples to incorporate into your workplace L&D

⁹ Blue Carrot. Why Video-Based Learning is Essential for Corporate Training

¹⁰ Coursebox AI. 20 Practical Microlearning Examples for Quick and Engaging Training

¹¹ ADVIDS. 30 Product Training Video Examples That Captivate And Convert

¹² Impress Video. Gen Z Workforce Training: Strategies for Adaptation

¹³ Indirap. How to Create Effective Employee Training Videos for Gen Z …

¹⁴ Panopto. Gen Z Learning Styles: Rethinking Training and Development

¹⁵ ADVIDS. 30 Animated Onboarding Demo Video Examples To Simplify User Adoption

¹⁶ Synthesia. Case Studies: See how AI videos can save you time & money

¹⁷ Field Service News. Case Studies of Successful Knowledge Transfer in Field Service Management

¹⁸ Blink. 7 best knowledge-sharing platforms to consider

¹⁹ Big Picture Copywriting Blog. 7 Creative Ways To Use Loom As An Online Business

²⁰ Research.com. 21 Best Training Video Software for 2025

²¹ Loom. Loom Use Cases | Send Quick Video Messages

²² CommLab India Blog. Microlearning for Corporate Training: 4 Success Stories

Next1 Create Inc. デジタル事業部
ネクストワンクリエイトデジタル事業部は、『心を動かす』クリエイティブをモットーに、動画の企画・制作、およびソフトウェアのデザイン・開発を主軸に展開しております。生成AI、およびブロックチェーン技術にも精通しており、様々なユースケースで実績がございます。ぜひお気軽にご相談ください。

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